誰でもない誰かが

まっすぐ前を見て画面の上半分がすっきりと空いている場所を見つけて、そこに立つ。

 

待つ。突然はじまる。

 

オレンジと金色が混ざり合ったような、でも決して濁りを見せない色合いが迫り出してきて、上、左右、下、そして手前にも奥にも広がっていく。

 

色と熱が、目から肌から入ってくる。いま息を吸って吐いている自分や地面に足をつけて立っている自分がここに存在しているのは紛れもない事実なんだと、誰でもない誰かが穏やかにしっかりと言い聞かせてくる。